小児矯正
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導く顎顔面矯正
床矯正治療には「取り外し可能」「永久歯を抜歯するリスクが低くなる」「痛みが少ない」などのメリットがあります。しかし、自分で着脱できるために、お子様が装置を外してしまい、期待通りの効果が出ないという弊害も実際に見受けられます。そのため取り外し式の床矯正装置では困難なケースにも対応ができるように固定式の装置を使用する顎顔面矯正を導入しました。
床矯正治療との違い
顎顔面矯正は、急速拡大装置と呼ばれる装置を使用して、上顎の骨全体を拡げます。結果として、不正咬合を防ぎ、正常な顎顔面と良い歯並びをつくりだします。急速拡大装置は、固定式のため、自分で取り外すことはできません。床矯正装置と比べると不便さはあるかもしれませんが、本人のモチベーションに左右されない、より確実な装置と言えるでしょう。
顎顔面矯正が求められる背景
現代人の顎の発達状況
現代の日本は食の軟食化が進んでおり、「しっかりと噛む」必要性が少なくなった為に、顎の発達が未熟なお子様が非常に増えています。それとは逆に、食べ物は栄養価が高くなったため、一本一本の歯が大きくなっています。つまり、顎骨の小型化と歯の大型化が同時に起きているために、歯の生えそろうスペースが足りなく、不正咬合になってしまっているのです。
上顎の未発達が関連する症状
顎が未発達だと、歯並びが悪くなることはもちろん、骨格のバランスが崩れることで、舌の位置もずれ、鼻腔も狭くなるなど様々な弊害を引き起こします。
たとえば、顎が小さいと舌が収まるスペースも狭くなるので、喉の方へ舌がずれていきます。舌の動きが阻害されると、滑舌が悪くなったり、うまくものを噛めなかったりといった問題が生じます。
また、顎が小さいと鼻腔も狭くなります。その結果、鼻呼吸がしづらくなり、口呼吸が増えます。鼻は湿度や温度の調節、汚染物質の除去などの呼吸関係を調整する働きがありますが、口にはそんな機能はありません。口から取り入れられる空気は、そのまま喉を直撃して、リンパ組織に損傷を与えます。それにより、免疫を低下させ、喘息、鼻炎、アトピーなどのアレルギーの症状を引き起こすことが確認されています。
上顎の発育不全を
チェック
- 寝ているとき、口が開いている
- いびきをかく
- いつも「ボーッ」として口を開けている
- 喘息等のアレルギーがでやすい
- 風邪をひきやすい、扁桃腺が腫れやすい
- 食べ物を水分と一緒に飲みこむことが多い
顎顔面矯正のメリット
未発達な上顎の骨を正常な大きさに誘導していく矯正を顎顔面矯正といいます。
発育が終了してしまった成人の方は対象となりませんが、発育過程にある5歳~12歳までのお子様であれば、矯正治療により発育を促してあげれば、正常な発育の軌道にのります。
そして、正常に発育した顎の骨に永久歯が生え変わってくるので、ワイヤー装置を着けなくても自然ときれいな歯並びを獲得することが可能になります。
もちろん、顎が正常に発達すれば、鼻呼吸しやすい環境となり、免疫低下・アレルギーを防ぐ効果が期待ができると言えます。また、その他、多動の改善や集中力向上による運動能力向上など、歯並び改善以外にも多くのメリットが報告されています。
つまり、顎顔面矯正の目的は、歯並びをキレイに並べるだけでなく「本来人間が持っている正常な機能を獲得すること」にあります。装置としては下記のような固定式の急速拡大装置とリンガルアーチを主に使用します。
顎顔面矯正で主に使用する装置
急速拡大装置
上顎には「正中口蓋縫合」という繋ぎ目が存在しており、そこで左右ふたつの骨に分かれています。この繋ぎ目を急速拡大装置の中央部に組み込まれているネジを回すことによって、徐々に上顎の骨全体の形を整えます。その結果、骨が正常に成長していくよう促され、永久歯も正しい歯並びで生えるように誘導されます。
リンガルアーチ
上顎の拡大がすすむと、下顎の歯も調整する必要があり、リンガルアーチという装置を主に使用します。下顎の骨は上顎とは異なり、ひとつの骨で構成されているので、同じように拡げることができません。内側に傾いている歯を起こすようにして歯列部分だけを拡げます。 この装置も固定式で、歯の裏側に装着しますので、あまり目立ちません。
アクチバトール(FKO)
上顎の拡大と下顎の歯の調整がすすんでから機能的矯正装置であるアクチバトール(FKO)という取り外し式の装置を用いて、下顎を適切な位置へ誘導します。 顎の位置、形態が改善し、舌、口唇の位 置、使い方が改善すれば、自然に歯の位置が変わって歯がきれいに並びます。