食事中の姿勢とお口やからだの関わり
前回のコラム「歯並びは遺伝だけじゃない!歯並びと生活習慣の関係」では、食事中の姿勢が歯並びに関係していることをお伝えしましたが、今回は子どもの歯並びだけでなく、大人も安全においしく食事をして頂く為に、食事中の姿勢がお口やからだにどのような影響を与えているのか、食事中の正しい姿勢をご紹介します。
食事中の姿勢がお口やからだに与える影響
食べるという動きはとても複雑で、口を開けて食べ物を口に運んだら、舌で食べ物を噛みやすいところへ移動させて唾液とよく混ぜ合わせながら咀嚼し、上顎に押し付けるようにして飲み込むというように、歯や舌、頬など様々な器官を使います。これらの動作はお口周りだけでなく、からだがしっかり支えることによって安定して行うことができるのです。
そのため、姿勢が悪いとお口の動きが制限されてしまい、しっかり噛めないことで口周りの筋力の低下や消化器官への負担、口臭、唾液が少なく味を感じづらい、飲み込みづらくむせやすい、喉に詰まりやすくなり誤嚥性肺炎や窒息の原因になるなど様々なトラブルに繋がることがあります。
また、子どもの場合は、お口を上手に使えないことで、歯並びやお口周りの成長だけでなく、消化吸収が悪くなることで全身の成長にも関わってきます。
食事中の姿勢チェック
☑机といすの高さは合っていますか?
椅子に座ったときに、両足の裏がきちんと床について踏ん張れる、肘はテーブルに腕をのせて90度、ひざと腰も90度を目安に。小柄の方や子どもの場合は足元に台を置くなど工夫しましょう。
☑前かがみになったり、背もたれにからだをゆだねていませんか?
前かがみになり過ぎると内臓が圧迫されたり、重たい頭を支えるために首や背中に負担がかかってしまいます。背もたれに体をゆだね、顎が上がっていると、飲む込む時に食べ物が気管に入りやすくなり、誤嚥や窒息の原因になります。
体とテーブルの間は握り拳 1 つ程度開けて、背筋を伸ばし椅子に深く腰掛けましょう。
☑食器は無理せず手の届く位置にありますか?
食器が遠いと姿勢が悪くなることに繋がります。無理なく届く範囲で、お茶碗などはきちんと手で持って食べましょう。
これらを心がけて食事をしてみてください。いつもと比べてよく噛める、飲み込みやすいと感じる方もいらっしゃると思います。加えて、噛む回数なども意識してみると良いでしょう。
美味しく食事をするためにはお口の健康も大切です。日頃のケアや歯科定期検診も忘れずに受診してくださいね。