歯に負担をかけていませんか?TCHが引き起こすお口と体のトラブル
「歯ぎしり」や「食いしばり」と聞くと、強い力で歯を噛み合わせるイメージがありますが、実はもっと弱い力でも長時間歯が接触していると、お口や体に大きな負担をかけることがあります。この状態を「歯列接触癖(Tooth Contacting Habit: TCH)」と呼びます。TCHは自覚がないまま続くことが多く、その結果、様々な不調を引き起こすことがあります。
今回は、TCHがもたらす影響と、予防するための方法についてご紹介します。
TCHとは?
TCHとは、日常生活の中で上下の歯が無意識に接触している状態を指します。本来、上下の歯が接触する時間は、食事のときに限られ、それ以外の時間は接触していないのが正常な状態です。TCHが続くと、お口や全身にさまざまな悪影響を及ぼします。無意識に行っていることが多いため、自分では気づきにくいのが特徴です。
TCHがお口と体に与える影響
歯がしみる
TCHが続くと少しずつ歯がすり減り、歯のエナメル質が徐々に削られることで刺激を受けやすくなり、歯が染みることがあります。
顎関節への負担
弱い力でも長時間歯を噛み合わせていると、顎関節に負担がかかります。これが進行すると、顎が痛んだり、口を開け閉めする際に違和感やカチッという音が生じる「顎関節症」を引き起こすことがあります。
歯周病の悪化
歯周病がある方は、TCHによって歯を支える歯茎や骨に余計な負担がかかり、歯周病が進行するリスクが高まります。
全身への影響
首や肩の筋肉が緊張し、これが原因で肩こりや頭痛が起こることがあります。さらに、顎関節の負担が大きくなることで、体全体のバランスが崩れ、姿勢が悪くなることもあります。特にデスクワークやスマートフォンを使用する時間が長い現代人にとって、TCHが健康に与える影響は無視できません。
TCHの予防方法
「歯は離す」ことを意識する
日常生活の中で、上下の歯が常に離れている状態が正常です。特に集中しているときやストレスを感じているときに、上下の歯が接触していないか確認し、意識的に歯を離すことを習慣にしましょう。
マウスピースの利用
夜間使用するマウスピースで、寝ている間の歯ぎしりや食いしばりによる負担を減らすことができます。
リラックスする時間を作る
ストレスや緊張がTCHの原因となることが多いため、日常的にリラックスする時間を確保することが大切です。深呼吸やストレッチを取り入れると、体の緊張をほぐす効果があります。
まとめ
今回は、TCHがもたらす影響と、予防するための方法についてご紹介しました。
TCHは、歯ぎしりや食いしばりほど目立ちませんが、放っておくと様々な問題を引き起こす可能性のある癖です。もし、歯に違和感を感じたり、顎が痛むなどの症状がある場合は、一度歯科医院を受診し、相談することをおすすめします。